FX市場とは、日々数百万件の取引がある非常にダイナミックで複雑な環境です。この市場を上手く利用するために、トレーダーは様々なテクニカル分析ツールを使ってトレンドの把握、値動きの予測、情報に基づいた取引判断をします。ここでは、FX市場などで人気があり幅広く利用されている指標を紹介します。
テクニカル分析で非常に人気のある指標
– 移動平均線: FX取引で最も基本的で、よく使われるものの一つが一定期間の平均価格を線でつなげた移動平均線です。トレーダーは、より相場変動に敏感な短期移動平均線と組み合わせた平均でトレンドの把握や取引のタイミングを判断します。
–相対力指数 (RSI): RSI は現在の相場の強さを測るオシレーターです。直近の上昇幅と下落幅を比較して0から100の数値で表します。トレーダーはRSIを使って買われすぎや売られすぎの状況を把握して売買のタイミングを判断します。
–ボリンジャーバンド: ボリンジャーバンドは移動平均線と標準偏差を使用して、値動きの幅を示す線を加えたボラタリティの指標です。トレーダーは、上下のラインの幅を使用して、サポートとレジスタンスの予想や価格のボラタリティを判断します。
–フィボナッチ・リトレースメント: 有名なフィボナッチ数列を使用したこの指標は、水平線でレジスタンスとサポートの予想を判断します。トレーダーは、これによって押し目と戻り目や損切りの判断をします。
– MACD: 移動平均拡散手法は、2本の移動平均線を用いるモメンタム指標です。トレーダーはMACD でトレンドの転換や売買シグナルを判断します。
–ストキャスティック・オシレーターは、一定期間の終値を比較するモメンタム指標です。0から100で表示され、80を超えると買われ過ぎ、20を下回ると売られ過ぎを示します。トレーダーは、ストキャスティクス・オシレーターでトレンドの転換の見極めや売買シグナルの設定に使用します。
–一目均衡表: 一目均衡表は価格チャートの5本の線からなる複合指標です。これらの線でサポートやレジスタンスと同じようにトレンドの勢いを測ります。トレーダーは新規注文や決済の判断、全体的なトレンドの読取に一目均衡表使用します。
–平均方向指数 (ADX): 平均方向指数とは株式などのトレンドの勢いを測る指数です。0から100で表示され、25を超えるとトレンドが強いことになります。トレーダーはADXで、トレンドの転換を見極めやトレンドなのか、横ばいなのかを判断します。
–パラボリックSAR: パラボリックSAR (ストップ&リバース)指標は、値動きの方向性を基に売買のシグナルを設定するトレンドフォロー指標です。トレンドの転換の可能性を示すために、価格の上下に点を表示します。トレーダーはパラボリックSAR で注文や決済時 や損切りの判断に利用します。
先行指標とは?
先行指標とは、過去のデータに基づいて将来の値動きを予測することを目的とした分析ツールです。先行指標は、価格トレンドの勢いを測定するためモメンタム指標としても知られています。既に動いた値動き反応した遅行指標とは異なり、先行指標は将来の値動きについてのシグナルです。言い換えるなら、トレンドが反転を事前に察知するための指標です。
移動平均拡散法(MACD)、相対力指数(RSI)、ストキャスティック・オシレーターなどの指標が先行指標です。これらの指数については、前述したとおりです。もちろん、先行指標は、これだけではありません。多くの先行指標は、MetaTrader 4 に搭載されており、無料でダウンロードできるものもあれば、特定のオンラインプラットフォームから購入することもできます。
先行指標のメリット。FX取引での先行指標のメリットの一つは、事前にトレンドの転換見込みのシグナルをトレーダーに示してくれることです。特に、新たなトレンドの始まりでの市場参入やトレンドの転換前に決済するトレーダーに有益です
先行指標のもう一つのメリットは客観的なデータに基づいているため、取引戦略に簡単に取り入れることができることです。トレーダーは売買シグナルや損切りの設定、新規注文や決済の判断に先行指標を使用します。
先行指標のデメリット。先行指標の主なデメリットは、誤ったシグナルを示すことです。トレーダーは、先行指標が必ず適切であるとは言えず、市場の状況を正確に反映しないシグナルを示すことがあることを知っておく必要があります。
もう一つの先行指標のデメリットは、不安定な市場を読み取ることが難しいことです。値動きのある市場では、誤ったシグナルが頻繁に示されるため、トレーダーは先行指標の使用時に注意が必要です。
人気の指標を使った戦略
以下は指標を使った金融市場(FXなど)でよく知られている取引戦略です:
– トレンドフォロー戦略:
指標: 移動平均線、パラボリックSAR、平均方向指数(ADX)。
説明: この戦略は、市場の持続的なトレンドを特定することに基づいています。相場が移動平均線より上で指標が強いトレンドを認識した場合(例えば、パラボリックSARが相場の下に表示されている)、トレーダーはトレンドの方向のポジションをもつことができます。
– 買われ過ぎ/売られ過ぎ戦略:
指標: 相対力指数(RSI)、ストキャスティクス・オシレーター。
説明: この戦略は、値動きの反転の可能性を示す買われ過ぎや売られ過ぎの状況を使った戦略です。RSIやストキャスティクス・オシレーターの指標が割高(買われ過ぎ) や割安(売られ過ぎ)を示した場合、トレーダーは価格変動を推測して適切に取引できます。
– サポート&レジスタンス・ブレイクアウト戦略:
指標: ボリンジャーバンド、フィボナッチ・リトレースメント。
説明: この戦略はサポートレベルやレジスタンスレベルが大きな相場の反転のポイントとして機能するという考えが基本になっています。ボリンジャーバンドやフィボナッチ・リトレースメントなどの指標でこれらのレベルを明確にし、このポイントを突破した時にトレーダーは新規注文をします。
– 移動平均線クロスオーバー戦略:
指標: 移動平均線.
説明: この戦略は、異なる期間の移動平均線が交差することです。短期移動平均線が長期移動平均線を下に突き抜ければ、下降トレンドの可能性を示し、その逆も同様です。
–ブレイクアウト戦略:
指標: 一目均衡表、ボリンジャーバンド。
説明: この戦略は、相場がサポートレベルやレジスタンスレベルの突破に注目しています。トレーダーは、一目均衡表やボリンジャーバンドなどの指標で突破したことを確認して新規注文をすることができま
一つの取引戦略に使う適した指標の数はトレーダーの好みや市場の状況によって大きく異なります。しかし、数が多ければ必ずしも良いというわけではないことを覚えておきましょう。あまりに多くの指標を使えば、情報が多すぎて分析困難に陥ります。その代わりに、相互補完できる効果的な重要ないくつかの指標に絞ることをお勧めします。
また、取引戦略や市場のタイプに見合った指標を使うことが重要です。例えば、トレンド・フォロー戦略は移動平均線とトレンドの勢いを判断する指標を使用することがあります。サポート&レジスタンス・ブレイクアウト戦略では、ボリンジャーバンドやフィボナッチ・リトレースメントなどでサポートやレジスタンスレベルを示す指標が便利です。
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これらは、FX取引でよく知られて使われている指標の一部に過ぎません。もちろん、ほかにもたくさんありますし、すべてのトレーダー自身の好みや戦略もあります。しかし、どの指標を使うにしても、1つのツールにすべての答えがあるわけではありません。どのような取引戦略でもそうですが、取引計画の実行前にこれらの指標の有効性を十分に試して評価することが重要です。
最終的に、FXで成功するには、テクニカル分析、ファンダメンタル分析、そして市場心理の深い理解の組み合わせが必要となります。
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